糸と糸を繋ぎ、その糸(ご縁)に感謝

株式会社 itofuku.

将来の介護に備えたいとき、保険ってどう考える?
介護費用と家族の負担を軽くするポイントを分かりやすく解説

自分や家族の介護
お金と時間足りますか?

介護は、ある日突然はじまり、どれくらい続くか分からない負担です。自分自身が介護を受ける立場になったときの費用だけでなく、親の介護で仕事をセーブせざるを得なくなる、きょうだい間で負担が偏るなど、「お金」と「時間」と「家族関係」に大きな影響を与える可能性があります。公的介護保険制度は心強い仕組みですが、それだけで自己負担や生活費、遠方からの通い・休職など、すべてをカバーできるわけではありません。ここでは、「どこまでを公的制度と貯蓄で、どこからを保険で備えるか」という視点で、将来の介護に備える考え方を整理します。

見直しポイント ❶

介護費用は「月額×期間」でざっくりイメージしておく

在宅介護か施設介護か、公的介護保険の自己負担割合、地域差などで費用は大きく変わります。たとえば「月5〜15万円前後の自己負担が数年続く可能性がある」といった前提で、自分や家族の場合にどのくらい想定しておくかを一度考えておくことが大切です。

見直しポイント ❷

公的介護保険でカバーされる範囲と「対象外」を知る

公的介護保険は、要介護認定を受けた場合に一部サービスを自己負担割合で利用できる制度ですが、「生活費・住居費」「設備改修」「家族の収入減」など、対象外の費用も多くあります。どこまで制度で支えられ、どこからが自己負担なのかを知ることで、備えるべきラインが見えてきます。

見直しポイント ❸

自分と親世代、それぞれの備え方を切り分ける

「自分の将来の介護」と「親の介護」はリスクのタイミングも負担も異なります。同じ財布で全部対応しようとすると、現役世代の家計や老後資金に影響が出やすくなります。親の資産・年金状況、自分たち夫婦の老後資金計画を整理し、それぞれのラインで不足をどう補うかを考えることが重要です。

例:自分の将来の介護に備える場合

スクロール→

項目

① 必要生活費

② 必要介護費用

③ 公的給付等(差引)

④ 貯蓄等(差引)

必要保障額

計算

月15万円 × 5年分

在宅サービス 施設利用 等

介護保険給付等

老後資金の一部 等

①+②−③−④

金額

900万円

300万円

−400万円

−300万円

6,000万円

必要保障額 = ①必要生活費 + ②必要介護費用 − ③公的給付等(差引) − ④貯蓄等(差引)
介護期間中の生活費と自己負担分の介護費用から、公的介護保険で軽減される分や、既にある老後資金の一部を差し引いた「不足分」が、介護保険や認知症保険などで備えたい目安になります。
※金額は一例です。要介護度、利用サービス、地域、家族の支援状況などによって大きく変わります。

ご相談でよく聞く
「3つの誤解」

介護の備えについては、「なんとなく心配だけど具体的に考えていない」という声が多く、その中には見過ごせない勘違いも含まれています。特に次のような誤解には注意が必要です。

誤解ポイント ❶

公的介護保険があるから、追加の準備は不要

公的介護保険はとても重要な制度ですが、自己負担分や居住費、生活費、家族の通院・付き添いコストなどはカバーしきれません。「制度がある=全額安心」ではない点を押さえておくことが大切です。

誤解ポイント ❷

親の介護費用は、その時になったら家族でなんとかする

「なんとかする」は、多くの場合「誰かひとりに時間・仕事・お金の負担が集中する」という形で現れます。親の年金・貯蓄、利用できる制度、兄弟間での分担などを事前に話し合い、必要に応じて保険や資金準備も検討しておくことで、家族全体の負担を軽減できます。

誤解ポイント ❸

介護保険は高齢になってから考えればいい

高齢になってから加入しようとすると、保険料が割高になったり、健康状態によっては加入が難しくなる場合もあります。50代前後から、「将来の介護」と「老後資金」のバランスを見ながら検討しておくと、選べる選択肢が広がります。

介護リスクに備えるため
押さえたい3つの選択肢

介護への備えは、「介護そのものの費用」と「介護で崩れない家計」を同時に守る発想が重要です。単体の商品ではなく、役割で整理しておくと判断しやすくなります。

介護保険・認知症保険
(介護一時金・年金型)

要介護状態や認知症と診断されたときに、一時金や年金形式で給付が受けられる保険です。介護サービス利用料や、住環境の整備費用などに充てることができます。

ココがポイント ❶

「一時金で初期費用に備えるのか」「年金型で継続費用に備えるのか」、家計と介護イメージに合わせてタイプを選びましょう。

個人年金保険・老後資金と一体で考える介護準備

老後資金そのものを厚くしておくことも、将来の介護費用への備えになります。個人年金保険や長期積立を活用して、「介護が必要になっても生活費+αをまかなえるベース」を作っておく考え方です。

ココがポイント ❶

老後資金と介護費用を完全に分けて考えるのではなく、「老後の中で介護が発生しても崩れない水準」を一緒に設計するイメージが実務的です。

就業不能保険・医療保険との組み合わせ

自分が要介護状態になる前後には、長期療養・入院・収入減がセットで起こるケースもあります。就業不能保険や医療保険で現役時代〜シニア期の収入減リスクに備えておくことで、介護状態になっても「家計全体」を守りやすくなります。

ココがポイント ❶

単に「介護保険を足す」のではなく、既存の医療・就業不能・老後資金とのバランスをFPと一緒に整理すると、重複やムダを減らせます。

よくある質問を
ご紹介

A. 一般的な目安として、「月5〜15万円前後の自己負担が数年続く可能性」を前提に考えます。ただし、自宅か施設か、家族のサポート状況、公的介護保険の自己負担割合などで大きく変わるため、ご家庭ごとにシミュレーションして目安額を出すことが重要です。
A. まずは親御さんご自身の年金・貯蓄・加入保険の状況を確認し、その範囲でどこまでまかなえるかを一緒に整理することが出発点です。そのうえで不足が見込まれる場合、きょうだい間での負担方法や、公的サービスの活用、必要に応じた保険活用を検討します。
A. まずは医療費や入院リスクに備える医療保険を整え、そのうえで「長期の介護状態」に対する備えとして介護保険や認知症保険を検討する流れが一般的です。年齢や家系、老後資金の状況によって優先度は変わるため、全体設計の中で判断することが大切です。
A. 50代前後はひとつの目安です。この時期は自分の老後資金、親の介護リスク、自身の健康状態が見え始めるタイミングでもあります。早すぎても遅すぎてもなく、「老後資金」と「医療・介護」をセットで見直す好機といえます。